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JAの牛肉トレーサビリティシステムの仕組み

JA全農は、2001年に発生したBSE(牛海綿状脳症)問題に対処し、牛肉の安全性向上によって消費者の信頼感を取り戻すため、牛肉の生産履歴や流通経路を、インターネットや店頭などで確認できるトレーサビリティシステムを採用しました。

JAのトレーサビリティシステムでは、まず、子牛生産農家が生まれた子牛一頭一頭の耳に固体識別番号をつけ、その子牛の詳しいデータを生産履歴証明書に記録します。

次に、子牛市場を経て肥育農場に運ばれた際、そこでも生産履歴証明書を大切に保管し、肥育農場の生産履歴証明書とともに食肉センターに送られ、子牛が解体されます。

子牛の解体と同時にBSEの検査も行われ、合格した牛肉のみが加工され、食用になるのです。

この際、脳や延髄などの特定危険部位に指定されている部分は、すべて破棄されます。

解体後の牛肉には枝肉番号が振られ、固体識別番号とともに1頭ごとに管理されています。

JAのトレーサビリティシステムは、生産農場の名前や肥育農場の名前までもすべて把握できる仕組みを構築しました。

解体された牛肉は、その後、JA全農を通じて生協やスーパー、小売店に卸されますが、この際もダンボールに記載されているラベルによって、牛肉の出身地が確認できます。

また、牛肉をさらに細かくし、パックに入れて消費者に販売する際は、パックに記載された「お問い合わせ番号」をもとに、消費者がインターネットなどにより、牛肉の産地を照会できるようになっています。

食品流通におけるトレーサビリティシステムの現状

2001年の9月に発生したBSE(牛海綿状脳症)をきっかけに高まった国民の「食の安全」関わるトレーサビリティシステムに対する関心は、食品の産地偽装問題や残留農薬、消費期限偽装などにより、現在とても高いものとなっています。

こうしたトレーサビリティシステムへの期待が高まる中、農林水産省は、フランスの例を参考にし、多様化・複雑化している食品の生産源、流通経路を問題視し、国民の食に対する信頼を取り戻すため、「食と農の再生プラン」を発表しました。

「食と農の再生プラン」の内容は、記録により、その製品の足取りをたどりことができる「トレーサビリティシステム」を食品に適用し、IT技術を使って原材料の生産地や流通経路を明らかにすることによって、消費者が確認することを可能にするというものです。

トレーサビリティシステムを確立するにあたっては、農水省はまず、「安全・安心情報提供高度化授業」を立ち上げ、米や野菜。牛肉、果汁、水産加工製品などについて実証実験を行いました。

生産に携わる人々は、自分たちが出荷している生産物が消費者の信頼を得られるよう、生産履歴を積極的に開示するようになっています。

加えて、生産加工物のパッケージに印刷された番号をもとに、ホームページから生産者のデータなどを検索できるようにしました。

今までトレーサビリティが困難だと思われてきた漁業分野でも、ひとつのいけすごとにデータを記録し、稚魚の産地から餌の種類までのデータを提供しています。
また、パソコンの扱いに不慣れなひとのための携帯電話によるトレーサビリティシステムも採用しています。